湯遊白書〜そこに温泉があるから

ここは天国かい?いや、温泉だよ。日本、アジア、世界の温泉を巡って紹介します。

大幸温泉〜ナゴヤドーム前のナパーム弾

ナゴヤドームに行くときは野球観戦やコンサートの前にひとっ風呂浴びてほしい。イベント前の風呂は『地獄の黙示録』のギルモア大佐の言葉を借りれば「朝のナパーム弾は格別」だ。大幸温泉(だいこうおんせん)は創業50年以上。まさか静かな住宅街にナゴヤド…

クアフォーレ清武温泉〜名湯と侍ジャパンの聖地

物が豊かになりサービスも向上し、贅沢に慣れすぎてしまった今では不便に感じる。だが本当の贅沢とは豪華なものではなく、ちいさな幸せ、おみくじの大吉ではなく小吉のようなものだと教えてくれる。 家族経営。年配のご夫婦。Wi-Fiも冷蔵庫もない。お客さん…

伯耆大山と豪円院湯

令和二年1月10日、世界の始まりを告げる夜明けの向こうに伯耆大山が見えた。この瞬間に出逢いたくて登山を続けている。新宿からのバスに揺られ13時間。米子駅から大山寺に向かう始発バスの中に山容はあった。独り鳥取の山にいる。そんな贅沢を噛み締めながら…

日本一の湯量〜入之波温泉・山鳩湯【大和最古の温泉】

実家から車を走らせ1時間半。トンネルを抜けるとそこはトンネルだった。いくつもの山々を越え、眼前に大峰山、背中に大台ヶ原を望む山奥に大和最古の温泉がある。川上村、吉野川源流の森の中の秘湯。 奈良市がある北は「奈良」、我が故郷・桜井市や橿原市が…

秦野温泉〜塔ノ岳と万葉の湯、湯花楽

「どんな山でもいい。とにかく山へ行け。山で過ごした時間は嘘をつかない」 2015年に劒岳を登ったあと、花谷泰広さんから頂いた言葉。あれから4年たった令和元年、無我夢中で山を追いかけた。 山納めとなる62座目が丹沢の塔ノ岳。1000m以上の峰が63座も連な…

松崎温泉〜長八の宿、山光荘

日本でいちばん小さい町・静岡県の西伊豆・松崎町にステキな温泉宿がある。その名も通称"長八の宿"、地元の人は正式名称の「山光荘(さんこうそう)」と呼ぶ。 駿河湾と富士山を一望できる伊豆松崎町の港にあり、もとは漁師の大網元が造った宿。1966年8月の…

東山温泉『新滝』 磐梯山

山国である日本は、どの地域にも郷土を彩る山がある。北海道、岩手に次ぐ3位の面積を誇る福島にも名山が数多くあるが、真っ先に思い浮かぶのはあの山だろう。 令和元年10月5日(土)4時53分の始発で新宿駅へ。暑い。もう神無月なのに電車に乗る前から汗が滴…

箱根一の名湯〜強羅・太陽山荘

ひとときの安らぎを求めて箱根に来る人は多い。温泉といえば奈良時代から続く箱根湯本温泉が本家だが、入ってみたら意外と普通だったということが多い。おすすめは、箱根湯本から一足伸ばし、箱根登山鉄道で強羅駅まで行ってもらいたい。 強羅(ごうら)は明…

箱根湯本温泉・和泉館〜箱根クライマー駅伝

">30歳まで関西人だった自分にとって、箱根駅伝は日本で最も退屈な正月行事だった。それが今や毎年、青山学院の応援に駆けつけているから、人間の好みほどいい加減なものはない。2019年5月23日。9時42分に乙女峠から金時山の頂上に立ち、箱根湯本までの尾根…

芦安温泉・岩園館〜仙丈岳の記憶

山を訪れる理由は十人十色。仙丈ケ岳は竹澤長衛との対話であり、深田久弥さんが南アルプスで一番好きという理由を確かめるためだった。仙丈ケ岳は、「仙丈岳」とも呼ばれる。山に「ケ」を付けるのは好きでないが、この山は例外。「センジョウガタケ」という…

世界一の温泉〜釜山・東莱温泉「虚心庁」

世界一の湯〜トピアが日本でもヨーロッパでもなく、釜山にあるとは思わなかった。韓国最古の温泉である東莱温泉(トンネ・オンチョン)は、新羅時代の王も立ち寄ったという歴史が残る。一羽の鶴が怪我した足を温泉につけたら完治して飛んでいった白鶴伝説に…

釜山温泉〜ソラリア西鉄ホテル釜山

釜山に行くなら泊まって欲しいホテル(温泉宿)がある。外国では珍しい大浴場があり、朝風呂、夜風呂とも天国が訪れる。新宿や福岡にもあるソラリア西鉄ホテル。サウナや水風呂まである。 ソラリア西鉄ホテル釜山は、釜山随一の繁華街・西面(ソミョン)にあ…

名山の麓に名湯あり『木曽温泉ホテル』

木曽の霊峰・御嶽に登るクライマーに薦めたい宿がある。今後、御嶽に登るときは必ず脚を癒やす名湯だ。『木曽温泉ホテル』 外観から察しがつくように、ホテルより旅館のほうがしっくりくる。料金は1泊2食付きで1万円。御嶽の労を癒してくれるのは茶褐色のに…

名山の麓に名湯あり『武甲温泉』

3月に持病の腰痛が再発し、登山どころかストレッチもできない状態。1ヶ月、接骨院に毎日通い続けている。 ゴールデンウィークは岩手山で東北の母と山小屋に泊まると決めていたがキャンセル。八方塞がりのなか、4年前から書き置いていた『武甲温泉』の紹介文…

名山の麓に名湯あり『御座石鉱泉』

鳳凰山の登山口にある『御座石(ございし)鉱泉』は宿泊も可能な年季の入った大きな民宿。韮崎駅までのバスの切符も販売し、庭では犬が遠慮なく客に吠えるてくる。“鉱泉”とは、地中から湧き出た水や湯を指す。温泉は鉱泉の一種。 鉱泉の温度が25℃か、硫黄な…

名山の麓に名湯あり『高尾山温泉』

">山の頂きには喜びがあり、山の麓にはクライマーを癒す極楽がある。登頂が叶わなくとも「温泉よければ全てよし」と言える登山があってもいい。新宿から近く、屈指の“極楽指数”を誇る名湯が、登山者数で世界一を誇る高尾山の『極楽湯』 "> ">正式名称は「京…

名山の麓に名湯あり『梵の湯』

"> ">山の麓にはクライマーを癒す極楽がある。「武甲温泉」「満願の湯」と並んで、”秩父三湯”と呼びたい第三の湯『梵の湯』秩父は名峰が屏風のように並ぶ関東の聖域。自ずと山の湯の恵みも屈指となる。その秩父市に2500坪の広大な敷地を持つのが『梵の湯』。…

湖畔の湯〜諏訪湖に抱かれて

諏訪湖はなんでも訪れたい湖だ。日本でいちばん好きな湖。水滸伝の梁山泊とは真逆の趣で水のほとりの物語がある。夏は元気に入道雲が大きい。細田守の世界に入れる。 広大な諏訪湖の北側、下諏訪にある「湖畔の湯」。名前のとおり、諏訪湖から歩いて5分ほど…

名山の麓に名湯あり:大菩薩峠『ひがし荘』

そこに山があるからではなく、そこに温泉があるから山に行くことが多い。下山後に寄る温泉は事前にチェックするが、うれしいのは偶然の出逢い。当初は大菩薩峠から下りたら温泉施設『大菩薩の湯』に浸かる予定だった。 2月27日に登り始める前、雲峰寺を過ぎ…

日本一の泥湯〜別府、明礬温泉、紺屋地獄

2016年の秋、エヴェレストに向かうチベットの標高4200mで泥湯に入った。温泉なんて呼べる代物ではない。泥というよりヘドロ。人生でいちばん気持ち悪かった湯。だから本当に気持ちいい泥湯を体験したかった。その日本一の泥湯が別府にあるという。 明礬(み…

別府温泉の共同湯、竹瓦温泉、永石温泉

目の前に広がる別府湾から振り返ると、視線の先に山々が聳える。由布岳、大平山、鶴見岳。これほど海と山の距離が近い場所は日本でも多くない。別府は、荘園の租税を特別扱いにすることを表す「別府」に由来しているといわれ、温泉にまったく関係ない。 温泉…