
人生で初めて「温泉」という言葉を知ったのが「下呂温泉」だった。すごい名前だ。ふざけているのかと思った。実際に浴するまで、こんなにすごい温泉とは知らなかった。
面積の9割が山林に囲まれる岐阜県の下呂温泉は、滑らかで肌に優しい湯、風情ある温泉街、飛騨牛や飛騨そばなどの絶品グルメ、四季折々の絶景が広がる名湯の地。バブル期は老人会や社員旅行の年配客がメインだった温泉地を、若者&外国人に愛される温泉郷に大変身。素泊まりやカップル限定プラン、女子旅プラン、土曜に上がる花火など地方ブランディングに成功した。
今では人口3万3千人の下呂市に、年間113万人が訪れ、466億円の観光収入をあげる。そんな下呂温泉の歴史、泉質や効能、日帰り温泉、宿泊施設、グルメ、観光スポットまで紹介。旅がより充実したものになる。
- 下呂温泉の基本情報と歴史
- 下呂温泉の泉質・効能
- 下呂温泉を楽しめる日帰り温泉
- ひとり旅・カップル・家族向けのおすすめ宿
- 下呂温泉グルメ&食べ歩きガイド
- 下呂温泉の観光スポット
- 下呂温泉は温泉・グルメ・観光のすべてが揃う名湯の地
下呂温泉の基本情報と歴史

下呂温泉
- 所在地:岐阜県下呂市
- アクセス:名古屋駅からJR特急「ひだ」で約1時間30分
- 特徴:日本三名泉(有馬・草津・下呂)の一つ
「下呂」の名前の由来
「下呂」という名の由来には諸説あるが、有力なのは「下留(げる)」が転じたとする説。776年(宝亀7年)の『続日本紀』によると、下留(しものとまる)駅が設置され、それが「げる」と呼ばれるようになり、次第に「下呂(げろ)」に変わっていった。お土産屋では、カエルの鳴き声の「ゲロ、ゲロ」の饅頭を販売している。
下呂温泉の発祥と伝説
下呂温泉の歴史は古く、発見は平安時代(西暦900年代)に湧いた温泉。最初は現在の飛騨川ではなく、もっと東の湯ケ峰の山中だった。

しかし、鎌倉時代の1265年(文永2年)に突然、源泉が枯渇し、白鷺(しらさぎ)が毎日、飛騨川に降り立ち、その場所に行ってみると湯が湧いていたという伝説がある。白鷺は温泉寺の薬師如来の化身で、村人たちに温泉を授けた。

この伝説が由来となり、温泉街には「白鷺乃湯」や「白鷺橋」など、白鷺にちなんだ名前が多く残っている。

下呂温泉街の真ん中を流れる飛騨川の河川敷には、噴泉池があり、観光客が足湯につかる。現在では下呂温泉のシンボル。意外なことに、もともとは足湯ではなく、昭和は野湯であり、裸の女性も人目を気にせず?混浴していたという。平成になって水着着用が義務付けられ、それも禁止され今は足湯となった。

有名になったきっかけは、室町時代の僧・万里集九。詩文集『梅花無尽蔵』で「三名泉」と記し、江戸時代に儒学者・林羅山が「天下の三名泉(有馬・草津・下呂)」と称えたことで全国的に知られるようになった。
下呂温泉の泉質・効能

- 泉質:アルカリ性単純温泉(pH8.9〜9.2)
- 効能:美肌効果、疲労回復、リラックス効果
- 特徴:柔らかい湯触りでスベスベする
下呂温泉のようにアルカリ性が高い単純温泉は、肌の古い角質を優しく取り除き、美肌効果をもたらす。子どもからお年寄りまで安心して入れるので「家族の湯」と呼ばれる。下呂温泉は、「化粧水のような湯」とも称されるほど、肌に優しくすべすべになる。入浴後の肌は水分を吸収しやすくなり、湯上がり後もしっとり感が持続し、「下呂温泉に浸かった翌日は、化粧のノリが違う」と評判になるほど、女性から好評。絹よりもシルキーになる。
下呂温泉を楽しめる日帰り温泉

下呂温泉では、宿泊しなくても気軽に名湯を楽しめる日帰り温泉が充実。駅からも近く、歩いて10分以内。湯めぐりしながら短時間でも存分に堪能できる。下呂温泉の共同浴場で特に有名なのが、「白鷺乃湯」 と 「クアガーデン露天風呂」
「白鷺乃湯」— 昔ながらの公衆浴場

📌 営業時間:10:00~22:00(最終受付 21:15)
📌 定休日:毎週水曜日(祝日の場合は翌日休み)
📌 料金:大人 430円 / 小学生 170円 / 幼児 110円
📌 住所:岐阜県下呂市湯之島856-1
📌 アクセス:下呂駅から徒歩約7分
♨️ 特徴と魅力

「白鷺乃湯(しらさぎのゆ)」は、大正15年(1926年)に創業した下呂温泉で最も歴史のある日帰り温泉。430円で、日本三名泉を楽しめる驚きのコスパ。
浴室には檜(ひのき)造りの大浴槽がひとつだけというシンプルな造りで、余計な設備がないぶん、純粋に温泉の魅力を堪能できるのが魅力。入浴後は、化粧水をつけたように肌がしっとりすべすべになるため、女性にも特に人気がある。
温泉には石鹸やシャンプーの備え付けがないため、必要な人は持参。ただし、タオルのレンタルや販売があるので、手ぶらでもOK。

温泉のすぐそばには下呂温泉名物「下呂プリン」の店があり、入浴後のスイーツタイムも楽しめる。
📢 こんな人におすすめ
✅ コスパ重視で、安く名湯を楽しみたい人
✅ シンプルな浴場で、純粋に温泉を堪能したい人
✅ 昔ながらの温泉情緒を感じたい人
「クアガーデン露天風呂」— 開放感抜群の露天風呂

📌 営業時間:8:00~21:00(最終受付 20:15)
📌 定休日:毎週木曜日(祝日の場合は翌日休み)
📌 料金:大人 700円 / 小学生 300円 / 幼児 無料
📌 住所:岐阜県下呂市幸田1211
📌 アクセス:下呂駅から徒歩約8分
♨️ 特徴と魅力

「クアガーデン露天風呂」は、開放的な露天風呂が自慢の日帰り温泉施設。白鷺乃湯が「内湯」のみなのに対し、クアガーデンは「露天風呂のみ」。四季折々の景色とともに温泉を楽しめるのが最大の魅力。すぐそばを流れる飛騨川のせせらぎを聞きながら、贅沢な時間を過ごせる。通常の露天風呂だけでなく、以下のような多彩な温泉浴が楽しめるのもポイント。
打たせ湯:肩や背中にお湯を落とし、血行を促進
三温の湯:異なる温度の湯を交互に入ることで温泉効果を高める
泡末浴(ジェットバス):気泡の力でマッサージ効果を得られる
箱蒸し(スチームサウナ):顔だけ出して入る個別サウナ

館内には、広々とした休憩スペースが完備され、湯上がりには飛騨牛乳(160円)を飲みながらくつろげる。
📢 こんな人におすすめ
✅ 開放感あふれる露天風呂を満喫したい人
✅ さまざまな温泉浴を試してみたい人
✅ 飛騨川を眺めながら、リラックスしたい人
🏆 白鷺乃湯 vs クアガーデン露天風呂 比較まとめ
|
項目 |
白鷺乃湯 |
クアガーデン露天風呂 |
|---|---|---|
|
料金 |
430円 |
700円 |
|
種類 |
内湯のみ |
露天風呂のみ(多彩な浴槽あり) |
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泉質 |
アルカリ性単純温泉(pH8.9) |
アルカリ性単純温泉(pH8.9) |
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特徴 |
檜風呂で歴史を感じる浴場 |
自然に囲まれた開放的な露天風呂 |
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雰囲気 |
昔ながらの公衆浴場風 |
風を感じながらリラックス |
|
休憩 |
2階にあり |
2階にあり |
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おすすめ |
安い!名湯を格安で体験 |
多彩な温泉浴でリフレッシュ |
|
推し人 |
シンプルに名湯を堪能したい人 |
開放的な露天風呂を楽しみたい人 |
ひとり旅・カップル・家族向けのおすすめ宿

下呂温泉は、ひとり旅、カップル、家族旅行、それぞれのスタイルに合った宿泊施設が充実。温泉街の中心地にある旅館から、静寂に包まれた高台の老舗旅館まで、宿泊する宿によって旅の雰囲気が大きく変わる。
【コスパ重視】「ゆらぎの里 ひだ山荘」— 1万円以下で源泉かけ流しの名湯

✅ 1泊朝食付き 9,000円〜(夕食なしプラン)
✅ 源泉100%かけ流しの湯
✅ 高台にあり、温泉街を一望できるロケーション
✅ ひとり旅歓迎!気軽に宿泊可能
「ゆらぎの里 ひだ山荘」は、湯の質を重視しつつ、コスパ抜群の温泉宿を探している人におすすめ。高台に佇む静かな環境で、温泉街の喧騒を離れてゆっくりと過ごせる。

特に、下呂温泉でも数少ない「源泉100%かけ流し」の湯を楽しめるのが大きなポイント。お風呂はシンプルな内湯のみで、pH9.1で、肌がスベスベに。
📍 宿の雰囲気
ひとり旅客も多く、静かで落ち着いた雰囲気。
宿泊費を抑えて、温泉と観光を楽しみたい人におすすめ
📍 おすすめポイント
・宿泊料金が1万円以下とリーズナブル
・源泉100%かけ流しの天然温泉
・ひとり旅でも気兼ねなく宿泊できる
📍 こんな人におすすめ
✅ 温泉メインでコスパ重視の宿を探している人
✅ ひとり旅でも気軽に泊まりたい人
✅ 静かにゆっくり温泉を楽しみたい人
【カップル向け】「水明館」— 貸切風呂&贅沢な高級旅館で大人の時間を

✅ 1泊2食付き 20,000円〜(素泊まりあり)
✅ 3つの大浴場+露天風呂+貸切風呂
✅ 飛騨牛懐石や鉄板焼きなど、グルメも充実
✅ 和モダンな雰囲気で、カップルに最適
いつか泊まってみたい水明館は、昭和7年創業の老舗旅館でありながら、モダンで洗練された雰囲気があり、温泉デートにぴったりの宿。特に人気なのが、3つの大浴場と貸切風呂。「展望大浴場」「野天風呂」「大庭園風呂」など、館内で湯めぐりが楽しめる。夕食は、飛騨牛懐石・鉄板焼き・会席料理など、選べる食事プランが豊富。
📍 宿の雰囲気
和の趣を大切にしつつも、ラグジュアリーな空間が広がる高級旅館。
カップルや夫婦での滞在にぴったり
📍 おすすめポイント
・貸切風呂があり、プライベートな温泉時間
・館内に複数の大浴場があり、湯めぐりができる
・食事のバリエーションが豊富で、飛騨牛を堪能
📍 こんな人におすすめ
✅ 贅沢な温泉デートを楽しみたいカップル
✅ 貸切風呂で2人だけの時間を過ごしたい人
✅ 美食を楽しみながら、ゆったり過ごしたい人
【家族向け】「湯之島館」— 大正ロマン漂う老舗旅館で思い出を

✅ 1泊2食付き 15,000円〜(家族向け)
✅ 大正ロマン漂うクラシックな建築が魅力
✅ 貸切風呂+広々とした大浴場で
✅ 無料送迎バスあり!アクセスも安心
「湯之島館」は昭和6年創業の歴史ある宿で、登録有形文化財に指定されているレトロな建築。映画のセットのような雰囲気があり、広々とした大浴場や、家族で利用できる貸切風呂があるので、小さな子ども連れでも安心して温泉を楽しめるのがポイント。双子の弟が奥さんと泊まったことがあると話してくれた。
食事も和食会席・洋食・飛騨牛プランなど、多彩なメニューが用意されており、幅広い世代が楽しめる内容になっている。
📍 宿の雰囲気
ノスタルジックな雰囲気が漂う大正ロマン風の老舗旅館
📍 おすすめポイント
・大浴場+貸切風呂があり、家族みんなで温泉
・レトロな雰囲気が魅力の文化財登録の宿
・無料送迎バスがあり、アクセスが便利
📍 こんな人におすすめ
✅ 三世代旅行や家族旅行でゆったり過ごしたい人
✅ 子ども連れでも安心して宿泊できる温泉宿を探している人
✅ ノスタルジックな雰囲気の旅館で、思い出を作りたい人
下呂温泉グルメ&食べ歩きガイド

下呂温泉の楽しみは、食べ歩きをしながら、温泉街を巡るのも旅の醍醐味。温泉で温まった体に、飛騨の絶品グルメが染み渡る瞬間は、まさに至福。下呂プリンは温泉のお供に必須のパートナー。
飛騨牛— 極上の和牛を贅沢に堪能

「飛騨牛(ひだぎゅう)」は、岐阜県が誇る最高級ブランド和牛。特徴は、きめ細かく美しい霜降りと、口に入れた瞬間にとろける柔らかな肉質。
飛騨牛まぶし(せん田)

「飛騨牛まぶし」は、名古屋の「ひつまぶし」のように、3通りの食べ方が楽しめる下呂温泉の名物料理。飛騨の銘酒「天領」と合わせて欲しい。
✅ そのまま → 肉本来の旨味を堪能
✅ 薬味をのせて → ワサビやネギで味変
✅ ダシをかけて → さっぱり茶漬け風
飛騨牛の脂の甘みがダシと絡み、最後の一口まで楽しめる絶品グルメ。
飛騨そば— 風味豊かな地元の名物そば

「飛騨そば」は、飛騨地方の冷涼な気候と清らかな水で育まれたそば粉を使用し、香り高く、コシのある食感の蕎麦。温泉で温まった体に、のどごしの良い蕎麦は絶品。
✅ 地元産のそば粉を使用!
岐阜県産のそば粉を使い、しっかりとした風味と香りが際立つ
手打ちのそばは、コシが強く、のどごしも抜群!
✅ 温泉と相性抜群!
飛騨そばは、さっぱりと食べられるので、温泉後の食事にもぴったり。
あっさりとした出汁の香りと、そばの風味が絶妙なハーモニーを生み出す。
✅ 夏は冷たいざるそば、冬は温かいそばで楽しめる!
季節ごとに味わい方を変えられるのも飛騨そばの魅力のひとつ。
夏は冷たいざるそばで、そばの風味をダイレクトに楽しみ
冬は温かいかけそばで、出汁の旨味と一緒に堪能できる
きのこそば(飛騨の山の幸たっぷり)

飛騨地方の豊かな自然で育った地元産のきのこをふんだんに使った温かいそば。
出汁にきのこの旨味が染み込み、食べ進めるごとに味わいが深まる逸品。
下呂温泉の観光スポット
下呂温泉には歴史ある寺院や風情あふれる街並み、飛騨川の絶景散策、夜のライトアップまで、訪れるたびに新しい発見がある。
温泉街を一望できる「温泉寺」

✅ 173段の石段を登るパワースポット
✅ 境内からは温泉街を一望できる絶景
✅ 湯治文化とともに歩んできた歴史ある寺院
下呂温泉の中心部に位置し、温泉街を見下ろす高台に佇む「温泉寺」。1671年(寛文11年)に創建された歴史ある寺院。特徴的なのが、参道にある173段の石段。

この長い階段を登ると、下呂温泉の街並みが一望できる。特に、秋には紅葉、冬には雪景色、夜には温泉街のライトアップなど、四季折々の景色を楽しめる。

📍 アクセス
・下呂駅から徒歩15分
・温泉街からも歩いてアクセス可能
📍 おすすめの時間帯
・朝の澄んだ空気の中で参拝し、心を清める
・夕暮れ時に訪れ、温泉街の美しい夜景を眺める
自然を満喫「飛騨川沿いの散策」

✅ 飛騨川沿いに広がる風情ある温泉街
✅ 足湯など、無料で楽しめる温泉スポットが点在
✅ 夜になるとライトアップ、幻想的な雰囲気に
下呂温泉の中心を流れる「飛騨川」。川沿いには、下呂温泉の情緒あふれる街並みが広がっており、歩くだけでも楽しい観光エリアとなっている。
🔹 白鷺橋(しらさぎばし)
下呂温泉のシンボル的な橋。橋の中央には「チャップリン像」が立っており、写真撮影スポットとしても人気。
🔹 飛騨川のせせらぎを聞きながら足湯めぐり

川沿いには無料足湯スポットが点在。湯めぐりしながらのんびり歩くのがおすすめ。
下呂温泉は温泉・グルメ・観光のすべてが揃う名湯の地
下呂温泉は、日本三名泉に数えられる名湯でありながら、進化し続ける温泉地。歴史と伝統を大切にしながらも、若者や外国人観光客を惹きつける新しい試みが成功し、年間113万人の観光客を迎えている。
✅ “化粧水のような湯”と称される極上の泉質
✅ 飛騨牛や飛騨そばなど、飛騨の豊かな食文化
✅ 温泉街を包み込む四季折々の絶景
夜になれば、温泉街がライトアップされ、幻想的な風景が旅人を包み込む。日帰りで気軽に楽しむもよし、宿泊してじっくりと名湯を堪能するもよし。下呂温泉は、一度訪れたら忘れられない、心も体も温まる至福の温泉地。
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