
木曽の霊峰・御嶽に登るクライマーに薦めたい宿がある。御嶽に登るときは脚を癒やす名湯『木曽温泉ホテル』
木曽温泉ホテル
泉質
泉質は「ナトリウム・マグネシウム・カルシウムー炭酸水素塩・塩化物温泉(中性低張性高温泉)」。まんべんなく成分が入っている「分散型」と呼ばれる湯。内風呂も良いが、なんといっても冬に閉鎖されてしまう露天風呂。泉温は45.2 ℃。pH値は6.8。

これがあるから御嶽への登拝は冬以外をお勧めする。茶褐色の濁り湯は鉄が錆びた影響なのか、浸かっていると金属臭がぷーんと漂う。日常であれば嫌なニオイだが、旅先では芳香へと変わる。何十分でも浸かっていられる、いや、ここを離れたくない。温泉の引力。山の湯よろしく、少し清潔感を欠いた汚さも味わい深い。鉄の錆は歴史の熟成。50年以上も生き抜いたヴィンテージのワインにつかっているかのよう。
料理
自分は口コミをまったく信用しないが、やはり木曽温泉ホテルも評価は低い。多くの人は”ご馳走”ではなく、グルメや美食にしか満足しないのだろう。どこでも見るような揚げ物一つとっても、丹念に作られ、真剣に客人を振舞おうとする意気込みが感じられる。その熱意こそが、ご馳走の証。
天ぷらとキノコ汁は、木曽の恵みを堪能するのに、これ以上ない逸品。これらを”つまらない料理”と感じてしまうのは、よほどグルメに毒されているのだろう。どれも人間の温度が感じられるものばかりである。揚げ物も機械やチェーン店では作れない個性がある。日常に疲れた旅人は木曽温泉ホテルに足を休めて欲しい。そこに本当の贅沢がある。都会の静寂は、ただの空虚かもしれない。しかし、山の静寂は音楽。クライマーのための無音たちの交響曲。クライマーにとって温泉は、ただの癒しではない。何かをしっかり刻みつけ、何かを残していく。
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