湯遊白書〜そこに温泉があるから

ここは天国かい?いや、温泉だよ。日本、アジア、世界の温泉を巡ります。日本、アジア、世界の温泉を巡ります。2017年11月23日、温泉ソムリエ協会認定「温泉ソムリエ」の資格を取得。本ブログの情報は平成29年8月発行の『温泉ソムリエ テキスト』(著者・遠間和広)に基づいています。

一度は行きたい日本の温泉ランキング〜おすすめの名湯を源泉(厳選)

草津温泉〜湯畑の宿 佳乃や

日本の源泉総数は2万7000以上。温泉施設も2900を超える。世界一の「温泉大国」「温泉天国」であるニッポンの中から、おすすめの温泉のランキングを選定。

温泉ソムリエの観点から、湯質や浴槽なども紹介する。これまで300を超える温泉に浴したなかで、本当に「名湯」と呼べるものだけを挙げている。どの温泉を訪れても素晴らしさを実感できる名湯ばかり。いかに日本の温泉が凄いかを堪能してほしい。

温泉ランキングの選定方法

一度は行きたい日本の温泉ランキング〜おすすめの名湯を厳選(源泉)

ランキングは「草津温泉」「箱根温泉」など、温泉郷の順位。ひとつの湯宿だけでなく、湯めぐりをして真価を味わえる温泉もある。

温泉街の情緒や、湯宿の素晴らしさ(料理や接客など)はランキングに加味していない。あくまで温泉(湯や浴槽など)の良さだけ。

日本おすすめの温泉ランキング

1位:草津温泉(大滝乃湯)

草津温泉の魅力まとめ

  • 魅力:恋の病も治る湯力
  • 泉質:酸性・含硫黄・アルミニウム-硫酸塩-塩化物塩(硫化水素型)
  • 浴槽:石風呂、岩風呂、檜
  • 泉温:48.8℃(ぬる湯から熱湯まで)
  • pH値:2.1
  • 開業:1983年
  • 利用:日帰り○、宿泊×
  • 場所:群馬県吾妻郡草津町草津596−13

トップ・オブ・ザ・ワールドは草津温泉。当たり前すぎるが、1位から動かしようがない。湯都・上州(群馬県)にあり、酸性泉の湯力が圧倒的。硫黄の匂いが抱擁する温泉郷、温泉帝国を築いている。1つ紹介するなら「大滝乃湯」だが、泉質だけなら1位の「御座之湯」、大露天風呂の絶景が楽しめる「西の河原露天風呂」と、少なくとも草津三湯を周遊して欲しい。無料で入れる19の共同湯を巡れば交通費のみで草津温泉を堪能できるのも凄い。草津温泉に浴すれば、恋の病も治る!

草津三湯

草津温泉の共同浴場

草津温泉の魅力まとめ

2位:万座温泉(万座高原ホテル)

万座温泉(万座高原ホテル)

  • 魅力:湯に溶けてしまいたい国宝の湯
  • 泉質:酸性-含硫黄-ナトリウム・マグネシウム-硫酸塩-塩化物泉温泉(硫化水素型)
  • 浴槽:石風呂、岩風呂
  • 泉温:62.0℃
  • pH値:2.1
  • 開業:1957年
  • 利用:日帰り○、宿泊○
  • 場所:群馬県吾妻郡嬬恋村万座温泉

草津温泉とほぼ同率。施設だけなら「万座高原ホテル」が日本一。草津と同質の湯に加え、あらゆる泉質がブレンドされた奥行きのある泉質。硫黄も酸性も日本トップクラスの含有量でクセの強さが別格。このまま湯に溶けてしまいたい。草津の賑やかさ、温泉文化の湯情と反対に、観光場所もなく、静かな自然の大パノラマを堪能できる。重要文化財を超えて国宝の湯。

3位:河津温泉(福田家)

伊豆「福田家」〜浴槽はワイングラス

  • 魅力:伊豆の踊り子を魅了した榧の浴槽
  • 泉質:カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉
  • 浴槽:榧(かや)
  • 泉温:53.6℃
  • pH値:8.4
  • 開業:明治12年(1879年)
  • 利用:日帰り×、宿泊○
  • 場所:静岡県賀茂郡河津町湯ケ野236

3位は伊豆半島の河津温泉に佇む「福田家」。川端康成の『伊豆の踊り子』に登場する湯宿で、吉永小百合や山口百恵なども湯につかった。泉質は保湿が良く、傷にも効く硫酸塩泉。浴槽は榧(かや)の木。100年以上も持つ長寿の木で、歴史と優しさに抱擁される夢見心地。大女優たちを魅了した湯の妖精が語りかけるフェアリーテールの温泉。1ヶ月半のヒマラヤ生活から帰国したあと浴し、温泉の沼にハマるきっかけとなった。

4位:別府温泉(明礬温泉・泥湯)

画像引用:たびらい

  • 魅力:ブルゴーニュの特級畑の泥湯
  • 泉質:酸性明緑礬泉-硫黄泉
  • 浴槽:岩(露天風呂)
  • 泉温:測定せず
  • pH値:2.45
  • 開業:1973年
  • 利用:日帰り○、宿泊○
  • 場所:大分県別府市明礬5

西の横綱・別府温泉。広大な温泉郷の王者が、明礬温泉・紺屋地獄。名前からして只者ではない。内湯(コロイド湯)、蒸し湯も素晴らしく、何より日本一の泥湯。いや、世界一。泥湯のエヴェレスト。 硫黄泉(硫化水素型)の泉質は、泥なのにフランスのブルゴーニュ特級畑に浸かっているような、日本のロマネ・コンティになった気分。かぐわしき大地。あまりに泥湯に何度も入りすぎて、帰ってから1週間近く硫黄(硫化水素ガス)の匂いがとれなかった。

5位:天狗温泉(浅間山荘)

天狗温泉浅間山荘〜泉質はピノ・ノワール

  • 魅力:赤く染まる鉄球の湯
  • 泉質:単純鉄冷鉱泉
  • 浴槽:石(内湯のみ)
  • 泉温:8.4℃
  • pH値:5.9
  • 開業:1995年
  • 利用:日帰り○、宿泊○
  • 場所:長野県小諸市甲 又4766−2

長野県の浅間山の麓にある「天狗温泉」。陶器を作れるほど鉄の含有量が多い赤褐色の湯は、赤ワインのピノ・ノワールのような雅趣がある。ホットワインに浸かっている心地、疲れがどんどん湯に溶けていく。温泉は人生を生まれ直す産湯だが、白紙に戻す必要はない。Paint it Red。過去も未来も赤く染めてしまえ。実際、着てきた白シャツが赤く染まった。鉄球の衝撃を受ける湯。

6位:秩父川端温泉(梵の湯)

『梵の湯』〜関東屈指の重曹泉、秩父川端温泉

  • 魅力:関東一の重曹泉、悪魔的つるつる
  • 泉質:ナトリウム・塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉 
  • 浴槽:石(内湯)
  • 泉温:16.1℃
  • pH値:8.5
  • 開業:2007年
  • 利用:日帰り○、宿泊×
  • 場所:埼玉県秩父市大字小柱字川端309-1

「梵の湯」は、秩父の大自然に囲まれた静寂の温泉。pH値が高く、悪魔的なツルツルの湯。湯にフェザータッチしただけでツルツルすべすべが全身に走る。名湯・秘湯・奇湯は全国に数多くあれど、梵の湯は「魔湯」と呼称するのがふさわしい。迷わず浸かれ、浸かれば分かるさ。悪魔的なツルツルに取り憑かれる。

7位:鎌倉温泉(稲村ヶ崎温泉)

6位:鎌倉温泉(稲村ヶ崎温泉)

  • 魅力:脳天ダンクの衝撃、ビフォア・サンセットの湯
  • 泉質:ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉
  • 浴槽:石(水風呂、内湯、露天風呂)
  • 泉温:20.8.℃
  • pH値:8.3
  • 開業:2005年1月
  • 利用:日帰り○、宿泊×
  • 場所:神奈川県鎌倉市稲村ガ崎1丁目16−13

映画『稲村ジェーン』の舞台、稲村ヶ崎の国道134号線、海岸通りにある海の湯。黒湯に降り注ぐ黄金の夕陽。オレンジロードの気持ちよさは、もはや暴力。桜木花道の脳天ダンクを食らったかのような衝撃を受ける。水風呂まで源泉掛け流しの黒湯で、心地よいトロみ。水風呂の気持ちよさも日本一。湘南の風が吹く海の湯のナンバーワン。

8位:下呂温泉(ひだ山荘)

下呂温泉(ひだ山荘)

  • 魅力:絶世の美女の湯
  • 泉質:アルカリ性単純温泉
  • 浴槽:石(内湯)
  • 泉温:55.6℃
  • pH値:9.1
  • 開業:1965年12月
  • 利用:日帰り○、宿泊○
  • 場所:岐阜県下呂市湯之島683-1

日本で最も美人の湯。美人になるのではなく、湯そのものが絶世の美女。一途に夫を愛する「お市の方」のような天下逸品の美湯。石鹸で身体を洗ったあとに浸かると絹よりもスベスベのシルキー肌になる。泉質だ効能だ騒ぎ立てるが、単純温泉 is Best。原点を見せてくれる「温泉ルネサンス」。美人薄命。湯当たりしやすく、長湯できないのが無念。だからこそ、また入りたくなる。何度でも逢瀬してしまう。

9位:水上温泉(松乃井)

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  • 魅力:谷川岳の雪解け水のような温泉と庭園
  • 泉質:アルカリ性単純温泉
  • 浴槽:石
  • 泉温:41.5℃
  • pH値:8.6
  • 開業:1956年
  • 利用:日帰り○、宿泊○
  • 場所:群馬県利根郡みなかみ町湯原551

谷川岳の雪解けが湯になったような、純度の高い湯。それが水上温泉「松乃井」。四種の源泉と一万坪の庭園、そして露天風呂「火あかりの湯」がもたらす静けさは、山を降りた者の心を解きほぐす。成分控えめ、肌すべすべ。露天風呂に吹く谷川の風は、夏の熱を忘れさせるひとたび浸かれば、何度でも思い出す。温泉とは、風景の中に生きる記憶なのだ。

10位:底倉温泉(つたや旅館)

9位:底倉温泉(つたや旅館)

  • 魅力:箱根の自然と伊豆青石の掛け算
  • 泉質:ナトリウム-塩化物温泉
  • 浴槽:伊豆青石
  • 泉温:56.4℃
  • pH値:7.8
  • 開業:1842年(天保13年)以前
  • 利用:日帰り×、宿泊○
  • 場所:神奈川県足柄下郡箱根町底倉240−1

箱根七湯のひとつ「底倉温泉」で500年以上も続く名湯。戦国時代に豊臣秀吉が小田原攻めのときに温泉を掘らせ、将兵たちの疲れと傷を癒した。床から湯船まで全面に伊豆青石(いずあおいし)を使用。石材の中でも柔らかな材質で保温性に優れ、肌触りがよく、濡れると青味を増してマリンブルーに輝く。箱根の自然と全身を癒しで包み込む。

11位:伊香保温泉(石段の湯)

伊香保温泉の魅力まとめ〜日帰り施設・石段スイーツ・観光スポット

  • 魅力:黄金の湯と温泉メシの癒しの沼
  • 泉質:カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉
  • 浴槽:石
  • 泉温:42℃
  • pH値:6.4
  • 開業:昭和57年(1982年)
  • 利用:日帰り○、宿泊×
  • 場所:群馬県渋川市伊香保町伊香保36

万葉集に詠まれ、作家・田山花袋も愛した湯の町。365段の石段を中心に、古くから湯治文化が息づく温泉郷。茶褐色の「黄金の湯」は、鉄分豊富で肌にやさしく、芯まで温まる名湯。石段街を歩けば、おしゃれなカフェや甘味処まで、楽しみは尽きない。榛名山や赤城山などの名峰を眺望でき、静けさの中に凛とした歴史と温かさが流れている。伊香保は、日常からふっと離れたいときに訪れたい、やさしい湯の町だ。

12位:高尾山温泉(極楽湯)

“極楽指数”MAX!高尾山のラスボス『極楽湯』

  • 魅力:エンドレス温泉天国
  • 泉質:アルカリ性単純温泉
  • 浴槽:石、岩、檜
  • 泉温:26.2℃
  • pH値:9.9
  • 開業:2015年10月
  • 利用:日帰り○、宿泊×
  • 場所:東京都八王子市高尾町2229番7

高尾山温泉『極楽湯』は、登山帰りに直行できる駅直結の天然温泉。アクセスと癒しを兼ね備えた名湯である。泉質はアルカリ性単純温泉で、pH9.9の高いツルツル度を誇る。露天の炭酸風呂や檜風呂、日替わり湯など、全身を包み込む極楽感がある。温泉天国のエンドレス、デンプシーロールで、山の疲れを癒すだけでなく、再び登りたくなる力をくれる温泉。湯上がりにはソーダフロート、とろろ蕎麦も楽しめる。

13位:灘温泉(水道筋店)

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  • 魅力:真夏の果実な炭酸泉、シャンパーニュの湯
  • 泉質:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉
  • 浴槽:石
  • 泉温:35.0℃
  • pH値:7.0
  • 創業:1938年6月1日
  • 利用:日帰り○、宿泊×
  • 場所:兵庫県神戸市灘区水道筋1丁目26番地

灘温泉は、神戸の下町・灘にある老舗の天然炭酸泉。湯に浸かれば、絹のような気泡が全身を包み、「シャンパーニュの湯」と呼べる唯一無二の体感がある。泉温は35℃とぬるめで、真夏は源泉そのままの状態で提供されるため、季節と体に絶妙にフィットする。泉質は美肌効果の高い炭酸水素塩泉。小さな浴槽に高濃度の泡が充満し、ウィルキンソン炭酸の中にいるよう。癒しと遊び心を兼ね備えた名湯。

14位:松江しんじ湖温泉(松江ニューアーバンホテル)

12位:松江しんじ湖温泉(松江ニューアーバンホテル)

  • 魅力:宍道湖の湖岸深くから湧き出す熱
  • 泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
  • 浴槽:石
  • 泉温:70.8℃
  • pH値:8.3
  • 開業:1984年
  • 利用:日帰り○、宿泊○
  • 場所: 島根県松江市西茶町40−1

松江しんじ湖温泉は、宍道湖の北側湖畔に湧く天然温泉。開湯は昭和46年(1971年)と歴史は浅いが、地下1250mから湧き出す約77度の湯は、高温良質で湯冷めしにくい。触感は、つるつる、スベスベ。山の湯とも、海の湯とも違う、湖畔の湯。宍道湖から吹く朝の潮風が頬を撫で、背中を爽やかにしてくれる。湯上がりは、大山乳業の白バラ牛乳とコーヒー牛乳でひと息。

15位:秩父温泉(満願の湯)

秩父温泉(満願の湯)

  • 魅力:日本一のツルツル水風呂と森林浴
  • 泉質:単純硫黄泉・アルカリ性・冷鉱泉
  • 浴槽:石、岩
  • 泉温:18.3℃
  • pH値:9.3
  • 開業:1997年
  • 利用:日帰り○、宿泊×
  • 場所:埼玉県秩父郡皆野町 皆野町下日野沢4000

「秩父温泉 満願の湯」は、露天風呂から眼下に広がる奥長瀞渓谷の清流と、名瀑・満願滝を一望できる日帰り温泉。絶景を眺めながらの入浴は格別で、四季折々の自然が織りなす風景が、訪れる人々の心を癒してくれる。特筆すべきは、水風呂までが源泉100%掛け流しであること。加水も加温もせず、浴槽の湯を再利用しない純粋な湯。25℃前後という絶妙な水温が、体を冷やしながらも心地よく、何時間でも入っていられるほど気持ちいい。入浴後の食事も絶品で、温泉から食まで、すべてが“日本最高峰”と言える。

16位:戸田温泉(彩香の湯)

画像引用:戸田温泉 彩香の湯

  • 魅力:幻想的な温泉の寝浴(浮遊浴)
  • 泉質:含よう素-ナトリウム-塩化物温泉
  • 浴槽:石(内湯)、岩(露天風呂)
  • 泉温:39.8℃
  • pH値:7.7
  • 開業:2005年
  • 利用:日帰り○、宿泊×
  • 場所:埼玉県戸田市氷川町1丁目1−23

新宿から電車で30分、戸田駅から徒歩15分にある天然温泉。しかも希少な泉質「含よう素泉」。地下1500mから湧出した源泉を掛け流した琥珀色の湯が幻想的な温寝浴(浮遊浴)。小雨が降る日でも湯けむりが空と一体化し、溝口健二『雨月物語』のような幻想的なホワイト・スモークに包まれる。

17位:強羅温泉(太陽山荘)

箱根一の名湯〜強羅・太陽山荘

  • 魅力:ブレイクダンス可能な乳白色の浮力
  • 泉質:酸性-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩・塩化物泉
  • 浴槽:石(内湯)
  • 泉温:59.2℃
  • pH値:2.2
  • 開業:1942年(昭和17年)
  • 利用:日帰り○、宿泊○
  • 場所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-375

箱根から少し脚を伸ばす強羅温泉。箱根ブルーの乳白色の湯は、つからなくてもフェザータッチだけで気持ちいい名湯。塩分が多く、浮力がすごいので浴槽でブレイクダンスしてしまう凄さ。フラッシュダンスの湯と名付けたい。

18位:庭の湯(豊島園)

豊島園 庭の湯〜ハニートラップの含よう素泉

画像引用:庭の湯

  • 魅力:都心の竜宮城、ハニートラップの湯
  • 泉質:含よう素-ナトリウム-塩化物強塩温泉
  • 浴槽:石(内湯)
  • 泉温:34.8℃
  • pH値:7.5
  • 開業:2003年(平成15年)6月28日
  • 利用:日帰り○、宿泊×
  • 場所:東京都練馬区向山三丁目25-1

都庁前から大江戸線で18分。豊島園にある天然温泉。ヨウ素を多く含む茶褐色の泉質は、歴代最強の湯あたり。浴槽から身を上げたらフラフラ。強烈な右フックを喰らい、ゴングに救われたボクサーのよう。しかし、この気持ちよさを東京、しかも都心のど真ん中で味わえる極楽。寝浴(浮遊浴)は病みつき必至。竜宮城。帰りたくない。帰れない。浦島太郎になってしまう。ハニートラップの湯。

19位:増富ラジウム温泉(不楼閣)

増富ラジウム温泉〜放射能泉と不老閣、テレサ・テンの湯

  • 魅力:湯の流れに身を任せるテレサ・テンの湯
  • 泉質:含放射能ーナトリウムー塩化物冷鉱泉
  • 浴槽:石(内湯)
  • 泉温:21.5℃
  • pH値:5.9
  • 開業:1913年
  • 利用:日帰り○、宿泊○
  • 場所:山梨県北杜市須玉町小尾6672

令和天皇が登山の際に宿泊した不楼閣は、地下40メートルから自然自噴する放射能泉。ほぼ水風呂の泉温、露天の川に身を委ねているかのような感覚。心地よい浮遊感が広がる。陽光が差し込むと、湯は黄金色に輝く。天の川か、はたまた三途の川か。浦島太郎が竜宮城へと運ばれる亀になった気分。

20位:鶴巻温泉(弘法の里湯)

画像引用:弘法の里湯

  • 魅力:「永遠」につかりたいカルシウム
  • 泉質:カルシウム・ナトリウムー塩化物泉
  • 浴槽:石(内湯)
  • 泉温:34.3℃
  • pH値:8.5
  • 開業:2001年10月
  • 利用:日帰り○、宿泊×
  • 場所:神奈川県秦野市鶴巻北3-1-2

世界一カルシウムを含む温泉。牛乳も顔負け。クライマーが登山帰りに集う鶴巻温泉。坂井泉水のような透明感のある湯。逢瀬を重ねるほど気持ちよさが増す。浮力もすごい。「揺れる湯、揺れる想い、体じゅう感じる」。ZARDの「永遠」の湯。ここまで体がポカポカする湯も珍しい。

21位:清武温泉(クアフォーレ清武)

クアフォーレ清武温泉〜名湯と侍ジャパンの聖地

  • 魅力:コラーゲンの湯と呼びたい、ぬるぬる
  • 泉質:ナトリウム - 炭酸水素塩泉
  • 浴槽:石(内湯)
  • 泉温:不明
  • pH値:不明
  • 開業:不明
  • 利用:日帰り×(要相談)、宿泊○
  • 場所:宮崎県宮崎市清武町今泉今泉丙1460-1

侍ジャパンの合宿で使うSOKKENスタジアムのそばにある湯宿。ジャイアンツ時代の松井秀喜がお忍びで通った。重曹泉の湯は日本の温泉では珍しい軟水、食塩鉱。湯が柔らかくヌルヌル。たっぷりのコラーゲンに包まれている感覚。侍ジャパンに泊まってほしい湯。

22位:東山温泉(新滝)

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  • 魅力:天然岩風呂【千年の湯】の産湯力
  • 泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉
  • 浴槽:岩風呂(内湯)
  • 泉温:41.9
  • pH値:7.8
  • 開業:1931年(昭和6年)
  • 利用:日帰り×、宿泊○
  • 場所:福島県会津若松市東山町湯本川向222

東山温泉は、奈良時代の行基が発見した歴史ある湯。岩盤から温泉が湧き、江戸時代には会津藩の湯治場として栄えた。戊辰戦争のときに土方歳三が刀傷を癒した猿の湯が有名。会津の名峰・磐梯山に登った際にお世話になった東山温泉『新滝』は、全部で4種類の源泉かけ流しの温泉があり、【千年の湯】の肌触り、快楽指数が群を抜いている。

23位:大手町温泉(大手町)

大手町温泉「SPA大手町」

大手町温泉「SPA大手町」
  • 魅力:大都会に湧く驚異の「強塩泉」
  • 泉質:含よう素-ナトリウム-塩化物強塩温泉
  • 浴槽:岩風呂(内湯)
  • 泉温:36.5℃
  • pH値:7.3
  • 開業:2016年5月
  • 利用:日帰り○、宿泊×
  • 場所:東京都千代田区大手町1丁目9−2 グランキューブB1F

日本の経済の中心地・大手町の駅直結にある「SPA大手町」。地下1500mから湧き出る源泉が自慢で、日本でも十本の指に入る「強塩泉」が温めてくれる。浴槽は石の内湯のみで、水風呂(20度前後)、ぬる湯(36度前後)、温泉(41度前後)の3種類。東京でも屈指の多さを誇る「よう化物イオン」にも驚異。源泉かけ流しだったら、とんでもない名湯になっていた。湯上がりは、目の前の「銀座 篝」で鶏白湯ラーメンとセットで。

もう一度リピートしたい温泉

酸ヶ湯温泉(青森)

青森県にある酸ヶ湯温泉。「千人風呂」として有名な名湯。しかし、混浴で初心者にはハードルが高い。八甲田山の登山の記憶が強すぎて、湯を愉しむ余裕がなかった。再挑戦してその魅力を再確認したい。宿のリンゴジュースが美味しかった。

らいちょう温泉・雷鳥荘(富山)

画像12

富山県の名峰・立山にある雷鳥荘。標高2450mの山の中にゴージャスな天然温泉がある奇跡。昔は苦労して登ったが、今ではロープウェイで行ける。客室数は53室、収容人数260名。ちょっとしたホテル。緊急事態宣言のなか訪れ、ピザと白ワインに感動して湯を覚えていない痛恨の体験。もう一度、訪れて泉質を見極めたい。

大滝温泉(山梨)

道の駅 大滝温泉「遊湯館」と雁坂峠

雁坂峠の帰りに立ち寄った湯。登山の思い出が強すぎて、蕎麦とソフトクリームしか覚えていない。秩父往還を果たしてリベンジしたい湯。

赤湯温泉(山形)

画像引用:やまと屋

山形県南陽市に位置する赤湯温泉。開湯から900年以上の歴史を持つ名湯。しかし、ここも吹雪く蔵王の記憶や、宿で飲んだ日本酒「十四代」の印象が強すぎて記憶なし。今度はゆっくり温泉を堪能したい。もちろん「十四代」はもう一度、飲む。

神岳温泉・豪円院湯(鳥取)

鳥取の名峰・伯耆大山の登山口にある日帰り温泉。地下1200mより汲み上げられた源泉は日本最大級の酸化還元水。「神の湯」と少々、大袈裟な名前で呼ばれる。コロナ前は390円だったが、今は790円と倍以上のインフレ。まだ温泉の成分を分析できないときに浴したので、もう一度、湯の気持ちよさを確かめたい。

熱海温泉(静岡)

熱海温泉「湯宿みかんの木」

徳川家康も愛した熱海温泉。かつての七湯の源泉は失われてしまったが、あたたかい海に抱かれる感覚を味わえる。ゆっくり宿泊し、410もある源泉を湯めぐりしたい。

湯河原温泉(神奈川)

湯河原温泉

『万葉集』にも登場する関東最古の湯が神奈川県の湯河原温泉。お隣が日本有数のリゾート・熱海ということもあってか、驚くほど静か。時間は流れているのに、歴史が止まったような静けさ。海に近い湯なのに、山奥にいるかのような感覚になる。いつかは奥湯河原の宿で一泊し、桜や新緑、紅葉の季節に、川の音を聞きながら湯と語らいたい。

海外おすすめの温泉

釜山:東莱温泉

世界一の温泉〜釜山・東莱温泉「虚心庁」

草津温泉がなければ世界最高の温泉。アジア最強の湯である東莱温泉(トンネ・オンチョン)は韓国最古の温泉。男風呂だけで1500人が入浴できる広さ。露天風呂、洞窟湯、ヒノキ湯、青磁湯、漢方湯、黄土湯、海水湯、各種サウナ、ミニプールなど40種以上の浴槽がある。ひとつの施設で凍・冷・涼・温・暖・熱すべてを網羅。内風呂、露天、洞窟と景観も変化。遊泳できるプールや泡風呂、ビール風呂など遊び心あり。ここに棲みたくなる温泉。日本で温泉関係の仕事をしている人は研修で虚心庁(ホシムチョン)に来たほうがいい。

チベット:エヴェレストの泥湯

アクセス困難。チベットの標高4200m、ティンリ県にある泥の野湯。二度と入りたくない温泉ランキング1位。別府の泥湯と"魔"反対の正真正銘の泥。アナコンダに絡みつかれたように感じる恐怖。ナンダカンダ叫んでも、もう一度、入りたくなってきた。

一度は行きたい憧れの温泉ランキング

一度は行きたい日本の温泉ランキング〜おすすめの名湯を源泉(厳選)

死ぬまでに行きたい日本の温泉

  1. 北海道・登別温泉:北国の最強湯にして、水曜どうでしょうの聖地

  2. 秋田・鶴の湯温泉(乳頭温泉):日本の秘湯の代表格

  3. 群馬・四万温泉:群馬県民が日本一の湯と絶賛

  4. 鳥取・三朝温泉:日本屈指のラジウム温泉

  5. 愛媛・道後温泉:『古事記』に登場する日本最古の温泉

  6. 佐賀・嬉野温泉:美肌の湯として有名

  7. 大分・湯布院:九州を代表する温泉地

  8. 別府・鉄輪温泉:強烈な含鉄泉

  9. 兵庫・有馬温泉:西の横綱と呼ばれる湯
  10. 和歌山・白浜温泉:日本三古泉のひとつ
  11. 三重・榊原温泉:清少納言が愛した湯
  12. 奈良・十津川温泉:大和最南端の秘湯

憧れの海外テルマエ・ロマエ

  1. 台湾・北投温泉:白硫黄泉、青硫黄泉、鉄硫黄泉の3種の泉質
  2. ドイツ・フリードリヒ浴場:ローマ式の入浴の歴史ある温泉
  3. ドイツ・カラカラ温泉:古代ローマの趣にあふれる温泉
  4. イタリア・サトゥルニア:階段状に流れ込むコバルトブルー
  5. イギリス・バース:2000年以上前にローマ人が築いた温泉
  6. ハンガリー・セーチェニ温泉:世界的なアミューズメント温泉

訪れたことがある方、「ここに行け!」という温泉がある方は、ぜひコメントで教えてください。また、ご自身の温泉ランキングがあれば、コメントお待ちしています。

温泉の楽しみをバズらせる裏技

温泉の泉質を知る

泉質 特徴 代表的な温泉
単純温泉 刺激が少なく優しい 下呂温泉、由布院温泉
塩化物泉 「温まりの湯」 有馬温泉、登別温泉
炭酸水素塩泉 「美肌の湯」 乳頭温泉、白浜温泉
硫酸塩泉 傷の治癒に良い 四万温泉、蔵王温泉
二酸化炭素泉 血行促進効果 十津川温泉
含鉄泉 鉄分を含み赤褐色の湯 鉄輪温泉
酸性泉 殺菌効果が高い 草津温泉
含よう素泉 体質改善の湯 白子温泉
硫黄泉 特有の匂いと美肌効果 別府温泉、万座温泉
放射能泉 万病に効くとされる 三朝温泉

温泉の泉質は十湯十色。2万8000を超える日本の温泉の中で泉質は全部で10種類あり、泉質を知っておくと温泉の愉しみがバズりまくる。泉質を制する者は温泉を制す。

泉質は10種類あるが、大きく分類すると3つに分かれる。

  • 単純温泉:刺激が少なく身体に優しい
  • 塩類泉:食塩を多く含み保温効果がある
  • 特殊成分を含む療養泉:7種類のどれかの特殊成分を規定値以上含み癖が強い  

単純温泉→塩類泉→特殊成分になるほど、温泉の個性がハッキリ現れ、同時に刺激も強くなる。まずは、この3つから自分に合う泉質を分類すると良い。

温泉の効果を知る

効果名 説明
温熱効果

温かさで血行が促進され、新陳代謝が高まる

疲労物質の排出を助け、免疫力を向上させる

温度によってリラックス効果や覚醒効果がある

水圧効果

水圧が血液を循環し、むくみ改善やデトックス

内臓が適度に圧迫されマッサージ効果がある

浮力効果

体重が軽減され、筋肉や関節の負担が減る

筋肉が緩みリラックス状態を生み出す

転地効果

非日常の環境が五感を刺激し、ストレスを軽減

自律神経を整え、リフレッシュ効果が得られる

温泉で得られる物理効果は主に4つ。知っておくと、入浴方法や入浴時間などが変わってくるので、さらに温泉が気持ち良くなる。

温泉の入浴方法を知る

温泉は、ただ浸かるだけではなく、泉温ごとの違いを理解し、適切な入浴法を実践することで最大限の効果を発揮する。

  • 泉温別の適切な入浴時間を守る
  • 全身浴・半身浴・寝浴を使い分ける
  • タオルを使い、のぼせや立ちくらみを防ぐ
  • 入浴前後に水分をしっかり補給
  • 入浴後すぐに帰らずリラックス時間を取る

せっかく温泉に入るなら、その効果を最大限に活かしたい。正しい入浴方法を知り、最高の温泉体験を楽しもう。

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