
松江は作家の田山花袋が愛した町。著書『温泉めぐり』では「県庁のある町で、これほどすぐれた感じを持ったところは沢山ない」と絶賛。

「宍道湖の眺めは、琵琶湖、諏訪湖、猪苗代湖、そうした湖水の中で、一番すぐれた線の柔らかさと空気の明るさとを持っていた」と断言する。

そんな宍道湖の湖岸深くから湧き出す約70℃の天然温泉を源泉とするのが「松江しんじ湖温泉」である。

宍道湖の北側湖畔に湧く天然温泉で、開湯は昭和46年(1971年)と歴史は浅いが、地下1250mから湧き出す約77度の湯は、高温良質で湯冷めしにくく、血行が促進される。

かつては松江温泉と呼ばれていたが、開湯30周年を記念して、平成13年(2001年)から「松江しんじ湖温泉」と呼ばれるようになった。

2025年7月3日(木)、島根県立美術館を訪れるために、新宿から12時間、深夜バスに揺られた。松江駅に到着したのは7時30分。

そんな時間でも日帰りの朝風呂を提供してくれるのが「松江ニューアーバンホテル」。開業は1984年。

松江駅から20分ほど歩いた風情ある石畳通りにあり、宍道湖を一望できる湖畔に佇む。松江城も徒歩圏内と立地に恵まれている。朝風呂は6:00~10:00で、午後は12:00~24:00まで入れる。

料金は1100円。タオル2枚とIDカードをもらい3階へ。このホテルの接客は素晴らしく、日帰り入浴でも宿泊客と同じく、丁寧な挨拶でもてなしてくれる。

温泉湯上りコーナーには島根県石見地方・金城の里で採水された天然のアルカリイオン水サーバーを設置。

ラッキーなことに湯客はおらず、独泉状態。露天はなく、猛暑の熱気が浴室にこもり、鼻を苦しめる。温泉にとっては不利な状況。評価が下がりやすい。

だが、松江しんじ湖温泉は、そんなハンデを跳ね返す名湯中の名湯だった。
肌に触れた瞬間、思わず目を細める。温度はちょうど良く、夏でも快適。
触感は、つるつる、スベスベ。ペロッと飲泉すると、少ししょっぱく、鉄のような味がする。やさしいのに深い。山の湯とも、海の湯とも違う、湖畔の湯。

そして、宍道湖から吹く朝の潮風が頬を撫で、背中を爽やかにしてくれる。3日前のギックリ腰も、12時間のバス旅の疲れも湯に溶けていく。盛夏に、内風呂で、これほどの快適感をくれる温泉は多くない。浴槽から出ては給水し、3回も往復した。

湯上がりはリラックススペースで、まったり。大山乳業の白バラ牛乳とコーヒー牛乳でひと息。

酷暑のなか、旅の勝利を確信し、島根県立美術館に向かう。宍道湖の波がきらきらと光を反射していた。
松江しんじ湖温泉の温泉分析書

- 泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉(弱アルカリ性・低張性・高温泉)
- 泉温:70.8℃
- 浴槽:石
- 種類:内湯
- pH値:8.3
- 湧出量:記載なし
- 湯の色:無色透明
- 成分総計:2140mg
松江しんじ湖温泉の泉質は「塩化物泉」にあたる。海水の成分に似た塩分を含む温泉で、保温効果があり、よく温まることから「温まりの湯(熱の湯)」と呼ばれる。
pH値が8.3とツルツル度が高い。ナトリウムイオンや塩化物イオンなど塩分が豊富で、そのほか、突き抜けた成分はないものの、全体的に温泉成分が多く、満遍なく含まれる。湯あたりしない、やさしい湯であり、温泉の力をしっかり感じられる。
- 料金:大人/1,100円(税込) 小人/600円(税込)
- 営業;6:00~10:00、12:00~24:00(最終受付/23:30)
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