ひとときの安らぎを求めて箱根に来る人は多い。温泉といえば奈良時代から続く箱根湯本温泉が本家だが、入ってみたら意外と普通だったということが多い。おすすめは、箱根湯本から一足伸ばし、箱根登山鉄道で強羅駅まで行ってもらいたい。
強羅(ごうら)は明治から大正にかけて本格的に始まった温泉。歴史が浅く、格付けでは「箱根七湯」や「箱根八湯」にも入らず「箱根十七湯」に数えられる。東京から箱根探索する中継点として扱う人が多いのは非常にもったいない。
大涌谷からの引き湯した乳白色の温泉(酸性-硫酸塩泉)は、本家の箱根湯本を遥に凌駕する名湯である。強羅温泉には早雲山から引き湯した温泉(単純硫黄泉)もあるので慎重に選びたい。おすすめは強羅駅から歩いて3分ほどの「国民宿舎箱根太陽山荘」
1942年(昭和17年)の創業。大涌谷を源泉とする掛け流しの湯であり、宿泊と日帰り入浴の両方ができる。
伝統的な木造建築。懐かしさと気品が漂う。日帰り入浴の場合も宿泊所で受付。
料金は1200円。1日わずか4時間だけ。その分、凝縮した湯を堪能できる。
日帰り入浴は別館。宿泊に靴を預け、下駄をカランコロンとさせながら向かいの館へ進む。
玄関ではちょこんと、ひまわりの飾りが出迎え。
脱衣所に貴重品などのロッカーはなく、籠に服を入れる。
ガラガラと引き戸を開けると、岩風呂から芳しい硫黄のアロマが漂ってくる。色は箱根ブルーの乳白色。
内風呂と露天風呂がハイブリッドになった1室。水風呂もなく浴槽はひとつ。温泉という教会で罪と汗を洗い流す厳かさがある。
つからなくてもフェザータッチだけで気持ちいいと分かる名湯。泉質は酸性-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩・塩化物泉(旧泉質名 酸性-含塩化土類石膏泉)とかなり複雑。現在では「硫酸塩泉」に分類され、カルシウムにより「傷の湯」と呼ばれるが、もっと複雑だ。ペロッと飲泉すると、かなりの酸味。酸性泉の要素も含まれている。
浮力が凄く、じっとしてられず浴槽でブレイクダンスしてしまう。目を閉じると谷川岳の雪山登山を終えたときの安堵が蘇る。あまりの気持ち良さ。体を拭いたのに、温泉おかわりをしてしまった。駆けつけ三杯の湯。箱根に行くならロックオン必至の温泉である。
日帰り入浴時間 | 昼間のみ(午前11時〜午後3時終了) 不定休 |
---|---|
入浴料 (貸タオル付) |
大人……1,200円 小学生…700円 乳幼児…500円 |
お部屋休憩 | お部屋代+入浴料 浴衣、タオル、バスタオル付 |