
温泉は「十湯十色」と呼ばれるように、泉質は全部で10種類あり、泉質を知っておくと温泉の愉しみがバズりまくる。今回紹介するのは、「傷の湯」と呼ばれる硫酸塩泉。特に朝湯の癒しにはナンバーワンの泉質。その秘密を徹底的に解剖する。
- 硫酸塩泉とは?「傷の湯」「脳卒中の湯」
- 硫酸塩泉のすごい効能
- 種類によって効果が違う!3つの硫酸塩泉
- 硫酸塩泉が楽しめる!おすすめ温泉ランキング
- 硫酸塩泉に関するQ&A
- 朝の世界をやり直せる「再生の湯」
硫酸塩泉とは?「傷の湯」「脳卒中の湯」

硫酸塩泉(りゅうさんえんせん)とは、ひと言でいえば、肌の再生を助け、血流をととのえる湯である。昔から「傷の湯」と呼ばれ、切り傷や軽いやけどの回復を後押しすると信じられてきた。血の巡りをよくするとされ、「(高血圧予防から)脳卒中の湯」という異名もある。医療行為ではないが、湯治文化の中で肌と血管という二つのテーマで語られてきた歴史がある。
さらりとした湯ざわりと、湯上がりの心地よいポカポカ感が魅力の泉質である。
硫酸塩泉の定義と成分
理科の教科書的に言うと、温泉1kg中に硫酸イオンが1,000mg以上含まれているものが硫酸塩泉になる。「硫酸塩」って名前が強そうだが、実はミネラル(無機塩類)の一種で、自然界では普通の存在。海水やミネラルウォーターにも微量に含まれており、特別に珍しい成分ではない。温泉ではこの硫酸塩がぐっと濃いので、肌や血流に関する“実感”が出やすい。
体感の特徴(入ってわかること)

見た目・匂い
無色透明〜やや淡い色。硫黄泉のような強い匂いは基本的に少ない(名前が似ているので混同されがちだが別物である)。
肌ざわり
さらり〜きゅっと引き締まる方向。入浴後は肌の表面が整い、つるりとした感覚になりやすい。
湯上がり
血の巡りがよくなり、ほかほかが長く続くと感じる人が多い。とくにぬるめでじっくり入ると、体の芯から温まる。
種類によって効果が違う!3つの硫酸塩泉
「硫酸塩泉」は大まかに3種類ある。ポイントは、この「硫酸イオン」がどの相手(陽イオン)と組んでいるかで、お湯の“性格”が少し変わることだ。
ナトリウム × 硫酸塩(芒硝泉)

「温まりの湯」。湯あがりの保温が長く続く。肌の上にごく薄い“保護膜”のような感触が残り、乾燥を和らげる。湯ざわりはさらり。発汗後も肌がべたつきにくく、湯上がりは軽い。
カルシウム × 硫酸塩(石膏泉)

「鎮静の湯」。炎症をしずめ、かゆみやほてりを落ち着かせる方向に働くとされる。浴槽縁に白い析出が育ちやすいのもこのタイプに多い見た目の特徴。きゅっと肌が引き締まる感覚が出やすい。
マグネシウム × 硫酸塩(苦味泉)

強羅温泉・太陽山荘
めぐりを促し、血圧を下げる方向・筋肉をゆるめる方向の手応えを語られることが多い。飲泉可のところではわずかに苦味を感じる。さっぱり系の浴感。湯上がりの爽快感が出やすい。
[チャート] あなたに合うのはどの泉質?
| お悩み・目的 | 向いている泉質 | キーワード |
|---|---|---|
| 肌のザラつき・くすみを落としたい | 炭酸水素塩泉(重曹泉) | 「磨く」「つるすべ」 |
| 傷跡・ハリ不足を整えたい | 硫酸塩泉 | 「再生」「ふっくら」 |
| とにかく冷え性を改善したい | 塩化物泉(食塩泉) | 「保温」「熱の湯」 |
| 敏感肌・かゆみを落ち着かせたい | カルシウム硫酸塩泉 | 「鎮静」「やさしい」 |
| 疲労・ストレスをときたい | マグネシウム硫酸塩泉 | 「緩める」「リラックス」 |
どれも共通して肌のキメを整え、血行を促す方向に働くとされているが、細かな体感はこの組み合わせで変わる。
硫酸塩泉が楽しめる!おすすめ温泉ランキング

河津温泉・福田家(静岡)

- 魅力:伊豆の踊り子を魅了した榧の浴槽
- 泉質:カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉
- 浴槽:榧(かや)
- 泉温:53.6℃
- pH値:8.4
- 開業:明治12年(1879年)
- 利用:日帰り×、宿泊○
- 場所:静岡県賀茂郡河津町湯ケ野236
日本の温泉でも三本の指に入るのが伊豆半島の河津温泉に佇む「福田家」。川端康成の『伊豆の踊り子』に登場する湯宿で、吉永小百合や山口百恵なども湯につかった。泉質は保湿が良く、傷にも効く硫酸塩泉。浴槽は榧(かや)の木。100年以上も持つ長寿の木で、歴史と優しさに抱擁される夢見心地。大女優たちを魅了した湯の妖精が語りかけるフェアリーテールの温泉。1ヶ月半のヒマラヤ生活から帰国したあと浴し、温泉の沼にハマるきっかけとなった。
伊香保温泉・石段の湯(群馬)

- 魅力:黄金の湯と温泉メシの癒しの沼
- 泉質:カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉
- 浴槽:石
- 泉温:42℃
- pH値:6.4
- 開業:昭和57年(1982年)
- 利用:日帰り○、宿泊×
- 場所:群馬県渋川市伊香保町伊香保36
万葉集に詠まれ、作家・田山花袋も愛した湯の町。365段の石段を中心に、古くから湯治文化が息づく温泉郷。茶褐色の「黄金の湯」は、鉄分豊富で肌にやさしく、芯まで温まる名湯。石段街を歩けば、おしゃれなカフェや甘味処まで、楽しみは尽きない。榛名山や赤城山などの名峰を眺望でき、静けさの中に凛とした歴史と温かさが流れている。伊香保は、日常からふっと離れたいときに訪れたい、やさしい湯の町だ。
強羅温泉・太陽山荘(神奈川)

- 魅力:ブレイクダンス可能な乳白色の浮力
- 泉質:酸性-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩・塩化物泉
- 浴槽:石(内湯)
- 泉温:59.2℃
- pH値:2.2
- 開業:1942年(昭和17年)
- 利用:日帰り○、宿泊○
- 場所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-375
箱根から少し脚を伸ばす強羅温泉。箱根ブルーの乳白色の湯は、つからなくてもフェザータッチだけで気持ちいい名湯。塩分が多く、浮力がすごいので浴槽でブレイクダンスしてしまう凄さ。フラッシュダンスの湯と名付けたい。
強羅温泉は「箱根十七湯」に数えられるが、泉質の実力は箱根湯本を凌駕する。短時間高密度で“箱根らしい硫黄泉”を堪能できる太陽山荘は、温泉好きには外せない一湯である。
湯河原温泉 ホテル城山(神奈川)

『万葉集』にも登場する関東最古の湯が神奈川県の湯河原温泉。お隣が日本有数のリゾート・熱海ということもあってか、驚くほど静か。時間は流れているのに、歴史が止まったような静けさ。海に近い湯なのに、山奥にいるかのような感覚になる。
保温効果の高い塩化物泉と、血行促進に優れる硫酸塩泉を併せ持ち、バランスが良い。メタけい酸も101mg含まれ、美肌の湯としての側面もある。
西伊豆・長八の宿(静岡)

日本最小規模の町・松崎の港にたたずむ素泊まりの名宿。つげ義春も訪れた“長八の宿”として知られ、重厚な団欒所には入江長八の彫像や名作《寒牡丹》も見どころ。
温泉は24時間OK、女性は伊豆石、男性は岩風呂。真価は朝。半覚醒のまま湯に首を預けると、浮遊感とともに“もう一度眠りに落ちる”危うい心地よさ。これを「朝のナパーム弾」と呼ぶ。
伊豆松崎温泉・豊崎ホテル(静岡)

港すぐ、魚をこよなく愛する温泉宿。源泉100%かけ流しで、とにかく“熱い”。だが数秒で身体が馴染み、上がっても魔法瓶のように保温が続く。
露天はpH 8.5のつるつる湯、松崎の漁村と海を見晴らす贅沢。無色透明・さらり、若返りの湯タイプ。源泉かけ流しの熱感と持続する保温がクセになる。
硫酸塩泉に関するQ&A

硫酸塩泉はやさしい泉質だが、タイプや入り方で少しずつ個性が違う。よくある疑問をまとめた。
Q1. どんな匂いや肌触りがする?
A. 基本は無色透明・無臭。源泉によっては、ほんのり苦味や石膏のような香りを感じることもある。肌ざわりは、カルシウム型ならさっぱり系、ナトリウム型ならしっとり系とタイプによって違う。
Q2. pHは酸性?中性?
A. 多くは中性~弱アルカリ性で、肌への刺激が少ない。敏感肌でも入りやすい。
Q3. アトピーや敏感肌でも入れる?
A. 基本的に入りやすい泉質。特にカルシウム硫酸塩泉(石膏泉)は炎症を落ち着かせる「鎮静の湯」として知られる。個人差があるため、最初は短時間から試すのが安心。
Q4. 上がり湯はした方がいい?
A. 基本はしない方がベター。 湯の保湿・保温成分を肌に残すためだ。ただし、肌が非常に敏感な人は、軽くぬるま湯で流す程度ならOK。
Q5. 入浴時の注意点(金属など)
A. 硫酸塩泉は酸性でも硫黄泉でもないため、金属腐食の心配はほとんどない。
ただし、血流を促す作用があるため、長湯による湯あたりには注意。ぬるめで数回に分けて入るのが理想。
朝の世界をやり直せる「再生の湯」

温泉は十湯十色。刺激の強い硫黄泉、ポカポカの塩化物泉、つるすべの重曹泉……と個性派揃いの中で、ひときわ“しなやかで強い”存在がいる。
それが 硫酸塩泉(りゅうさんえんせん)。古くから“傷の湯”、“脳卒中の湯”と呼ばれ、肌を整え、血のめぐりをととのえ、体を朝の状態に戻す。そんな再生の魔法を秘めた泉質だ。朝湯の快楽でいえば、温泉界の絶対王者。硫酸塩泉に浸かると、世界がもう一回リセットされる。
「傷の湯」「脳卒中の湯」─二つ名が強すぎる泉質
硫酸塩泉とは、“肌の修復” と “血流の調整” を同時にこなす万能の再生泉。名前はちょっとコワいが、実際はとにかくやさしい。昔の湯治文化では、切り傷、やけど、擦り傷、日焼け後など、肌の回復を後押しすると信じられ、「傷の湯」と呼ばれてきた。
さらに、血の巡りが良くなって体がふんわり温まることから、「脳卒中の湯」(血管系に良い湯)という渾名まで持つ。この二つ名、かっこよすぎる。
教科書的にはこう:硫酸イオン1,000mg以上

環境省の定義はいたってシンプル。温泉1kg中に硫酸イオン(SO₄²⁻)が1,000mg以上ある湯。“硫酸”と聞くと強烈な刺激を想像するが、実際はミネラルウォーターにも普通に入っている成分。温泉ではこれが濃くなることで、肌や血流に「実感」が出やすい。
硫黄泉(硫化水素)とはまったく別物で、匂いも全然ない。初級者でも安心して入れる“やさしい湯”だ。
①見た目:ほぼ無色透明
硫黄泉のようなパンチのある香りは少ない。時々、石膏っぽい香りをほのかに感じる程度。
②肌ざわり:さらり、でもキュッと整う
「さらっ → キュッ → つるん」という上品な浴感。角質が軽く整い、肌が薄く均一に仕上がる。
③湯上がり:芯からほかほか、長持ち
熱の湯ほど“ガツン”とは来ないが、じわ〜っと優しいのに、すごく長く続く保温感。ぬるめで入るほど効果が爆発する。これが朝湯に向いている理由だ。硫酸塩泉は “体のアイドリングを静かに暖める湯”。
朝湯最強の理由

硫酸塩泉は“静かにリセットする湯”。余分な角質を取りすぎない、皮脂を奪わない、低刺激、保温が長い、じんわりと覚醒させる。
つまり、朝の身体を一番気持ち良く立ち上げてくれる泉質は、硫酸塩泉だ。朝風呂でここまで幸福になれる泉質は他にない。
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